2024/05/29
「製造業における収益改善」⑦ 問題点の洗い出し方と解決への繋ぎ方
【目次】
1、「見える化」と「見せる化」
2、行動に繋げること
3、不要とは?
4、ボトルネックになりがちな「運ぶ」機能
5、経営改善の重要ポイントとしての「運ぶ」機能
6,「運ぶ」を「整理」してみませんか?
【要点】
・ 「見える化」と「見せる化」は違います、「見せて」いても正常・異常が判断出来な
ければ意味がない
・ 「見える化」の「見える」とは、「正常・異常が誰にでもひと目で判る(判断できる)
ようにすること」
・ 行動に繋がる基準でなければ意味は無い
・ 「不要」という言葉も使い方ひとつで「見える」事象が変わる
・ 脇役扱いの「運ぶ」機能はボトルネックになり易い
・ 「運ぶ」機能は宝の山、経営改善の重要ポイントである
1、「見える化」と「見せる化」
「目で見る管理」、「見える化」という言葉は、一般化しているようです。
特に、ITを活用したツール関係の導入等ではよく使われます。
しかし、「見せる化」になっていないかとの懸念があるのが正直な所ではないでしょうか。
言葉の定義はともかく、ただ単に見えるようにする、文字や数字や図などで表現すること、のような使われ方をしているシーンが多いように感じることが多いように思われます。
電子的なツールは便利です。
もちろん、誰にでも見えるようにすることはとても大切なことなのですが、本来の「モノサシ」としての機能が抜けているのではないかと思うのです。
見えること、共有することは大切ですが、その目的は「正常・異常が誰にでもひと目で判る(判断できる)ようにすること」であり、そのギャップにタイムリー且つ組織的に対処して、発生した遅れ進みを許容範囲内に収めることであり(トラブルの流出防止)、発生原因を検証して基準の更新をすること(再発防止)に繋げることです。
要は、「5S」のサイクルを回しながら経営に寄与すること、結果として同じ結果を得るのであれば楽にできるように環境整備をすることです。
(楽にすることと、手を抜くことは違います。一応補足しておきます。)
2、行動に繋げること
見えるからこそおかしいと言えて、おかしいと言えるからこそ直さなればならないという行動につながる、この一連の繋がりを仕組むことこそが一番重要です。
「目で見る管理」とは、基準標準が明らかになっており、それが現場で誰にでも見える状態にすることです。
ただ、現状の予定や進捗が見えるだけでは足らないのです。
何が正常で、どこを越えると異常(上限:下限の管理範囲)になるかが組織的に仕組まれ、応受援を含めた初手の動きを管理側が把握して指示すること、常に承認してもらえるという安心感があるからこそ現場は自主的に動くことができるのです。
基準標準があるからこそ、その基準標準を見直すということを仕組む、即ち「5S」の「ものの見方・考え方」のような原理原則が仕組まれてはじめて、変えることを是とする組織文化の醸成にも繋がるのではないでしょうか。
3、不要とは?
「5S」では、「整理」:必要なものと不要なものを分けて、不要なものは捨てるとあります。
では、この不要なものとはいったい何を指すのでしょうか?
単に、過去は必要なものだったけど品種の改廃等の結果不要となった部品や設備、得意先からの取扱いがカットされた結果売る当てがなくなり、長期間停滞している在庫でしょうか。
確かに、これらも「不要」なモノでしょう。
しかし、「5S」における「整理」は、必要な条件を明確にすることで、結果的に不要なモノや活動を浮き彫りするという判断基準です。
例えば、日常の生産・物流の活動の中ではもっと大きくて目に見えにくい「本来ならば不要な活動」が隠れています。
代表的なものとしては、不良(手直しが可能で致命的ではないもの)が挙げられます。
前工程から送られてきた仕掛品やピッキングされた中での間違い品など、これらは多くの場合後工程側で手直しされます。
その情報自体は前工程にフィードバックはされているでしょうが、(意外と細かい手直し情報は、現場の不満が爆発するまで伝わっていないことも・・・)あくまでも情報・お願いの形が多いようです。
そして、流出防止策という検査を繰り返し行うような対策を取引先に提示、延々と同じことを繰り返すような悪循環に陥っているパターンは枚挙に暇がありません。
そして、最悪は流出不良として市場からのクレームという形で顕在する訳です。
同様の事態は、職場全体を俯瞰すれば多発しています。
そして、手が早い、目端が利く人がやり繰りで対処、「人に仕事が付く」形が出来上がります。
不要とは言葉はモノに対してのみ使う訳ではありません。
さて、本来の「5S」における「整理」というモノサシと現実のギャップ、直視してみては如何でしょうか。
4、ボトルネックになりがちな「運ぶ」機能
お客様へお届けする最終窓口ともいえる物流の現場には、その企業の悪さ(弱さ)が集中します。
営業側の情報の取り方の弱さ、製造側の作り方の弱さ、そして自工程である物流側の情報発信の弱さなど、様々な弱さが物流の現場には集まります。
見方を変えれば、これは宝の山です。
また、弱さが集中している、即ち仕組み的に弱さを集中させてしまっているということは、本来は不要な仕組みのはずです。
弱いところ、それを「ボトルネック」と言います。
要は、その部分が他の部分より狭まっており、流量が少なく詰まりがちであるということです。
分かっていれば広げればよいようですが、中々そこには気づかないものです。
その理由は、当たり前の風景になってしまっていることがひとつと、多くの企業では主役ではないということが挙げられるでしょう。
あくまでも脇役という位置づけなので、発言権も小さかったりします、
5、経営改善の重要ポイントとしての「運ぶ」機能
脇役扱いされているのに、掛かっている費用は可愛くないのが「運ぶ」という機能となります。
故に、経営改善において、この「運ぶ」という機能及びコストの分析は必須です。
必ず大きな成果に繋がります。
多くの企業で、「仕方がない」で見て見ぬふりをしがちなこの機能、そのくせ無くてはならないこの機能、本当に困ったものです。
「運ぶ」という機能、役割にのみに着眼、「兵站」という概念に対する理解が昔から弱い傾向にある日本人は兎角無頓着なのかもしれません。
「運ぶ」ことは必要である、というある意味思考停止が働いているようにも思えます。
6,「運ぶ」を「整理」してみませんか?
「運ぶ」ことを一纏めに考える傾向が強いのかも知れません。
正直、これでは企業は儲かりませんし、現場もたまったものではありません。
「運ぶ」という機能を「整理」出来ていれば、積み込む前に、必要な荷姿での荷揃えが出来ていることが当然となります。
当然、荷揃えされるべきものは良品(品質も数量も指示情報も)であることが大前提です。
しかし、現実は違います。
後工程に不良(モノの質、情報の質)を渡すことがないようにするべきなのに、現実にはトラブルがあったかどうか履歴すら明確に把握できていなかったりします。
それを、「運ぶ」機能側がやり繰りして何とか処置していることがなんと多いことか。
また、昨今の異常気象下、そもそも運べるかどうかのリスクを製販が共有してなかったりもします。
私売る人、私造る人、あなた運ぶ人、この間には情報とモノの膨大な連結作業が横たわっています。
関わる部署も、営業・製造・物流・後方支援の情報処理(伝票発行含む:敢えて事務とは言いません)と多岐に渡ります。
それにしては、軽視されがちなのは何故でしょうか?
これで企業は儲かるでしょうか。
うっかりすると、営業担当者が実は運搬担当だった等と言う困った事例も多かったりします。
また、荷揃えでトラックを待たせた上で、トラックに載せたら後はドライバーの責任、では今後は思いやられます。
お客様までのモノと情報の連結条件を「整理」して、仕組むことの重要性が抜け落ちている現状は恐らく由々しき事態なのでしょう。
実際に経営改善を行う上でも、この「運ぶ」機能の改善はほとんどの事例で大きな成果に繋がっています。
厳しい経営環境の中、「モノや情報」を「運ぶ」という重要な機能の中に埋もれている宝の山、これをうまく活用するための仕組み作りが望まれます。
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