2025/12/10
「製造業における収益改善」⑫ 仕事の質・仕組みの質
【目次】
1、品質とは?
2、質を高めるための加工とは?
3、仕事とは?
4、価値連鎖というバトンタッチリレーとそれを支える基準の整理
【要点】
・ 仕事とは、お客様を含めた一連の繋がりの中で成り立っており、単体や部分のみで完結するものは存在しない
・ 提供するモノやサービスの質は重要だが、適正なレベル設定が不可欠である
・ 当然のことながら、過剰品質はコストと再現性の両面からマイナスとなる
・ 適切な質には適切な値決めが必要不可欠である
・ 儲けが無ければビジネスは継続出来ないという当たり前を忘れてはならない
・ 品質は工程で造り込まれる
・ 仕事とは価値の連鎖を造り込むこと、区切りはあっても終わりはない
・ 仕事の質という「整理:基準の更新」対象はふたつ
【ひとつ目の基準】
・ その仕事が完了した時点ではどのような姿であるべきか
→ 製造業における品質基準
【ふたつ目の基準】
・ その仕事を正しく完了させるために守るべき基準
→ 人が携わる作業であれば「作業条件:手順や注意点等」
設備等に関しては「加工条件:設備に与える基準」及び「保全条件」
・ 人のみがルールを破れる存在、ある意味性悪説的な見方も必要
1、品質とは?
仕事とは、お客様を含めた繋がりの中で成り立っています。
一個人、一部署等で完結するものではないということです。
故に、その繋がりの中で、質の確保は重要です。
品質という言葉があります。
品物の質、サービスの質、要は顧客の要求する機能や特性を満たす基準のような意味でしょうか。
但し、この質のレベルは提供側が決める側面もあります。
過剰品質はコストと再現性の両面からマイナスとなる可能性があるからです。
その上で、ビジネスでは何かしらの価値を提供することで収益を得るという基本があります。
故に、品質とは単にモノやサービスの品質を意味するだけでなく、値決めの相場観の大切さを内包することを忘れるべきではありません。
長きに渡ったデフレの時代に、私たちは良いものを安く提供することこそが正しいという誤った価値観を植え付けられている可能性が高いと思われます。
それは、見方を変えれば過剰品質により自社の経営体力を棄損することになりかねません。
この点にも留意しながら、適切な基準を設定することが欠かせません。
適切な基準が設定されていることが前提となるが上に、必要な質はクリアすることが求められるのです。
過剰になっても、過小になってもダメだという一定の交差を持つ、再現性のある基準です。
これが、製造業でいう所の品質基準です。
では、その品質基準とはどこで造り込まれるでしょうか。
2、質を高めるための加工とは?
ビジネスでは何かしらの価値を提供することで収益を得るという本質があります。
だからこそ、必要な質は常にクリアすることが不可欠ですが、過剰になってもコスト高となり儲けを損なうことになります。
儲けが無ければビジネスは継続出来ませんので、当然のことです。
故に、自社が提供するサービスレベルと提供価格、費用対効果を設計することになります。
このサービスレベルというものが、製造業でいう所の「品質基準」です。
では、その「品質基準」とはどこで造り込まれるでしょうか。
当然、工程です。
工程とは、
・ 情報やモノの加工によって付加価値を高めること
→ 加工とは、
・ 素材の質を変えること(例:化学変化等)
・ 形を変えること(例:成形等)
・ 素材を組み合わせること(例:パーツの組立、組付け等)
・ 素材の必要な部分を分けて取り出すこと
(例:廃棄物からレアメタル等を取り出す等)
・ 検査により、良品を確定させること
→ 検査とは、正しい見本と比較して差異が無いことを確認すること
・ 運ぶことで、ニーズのある場所に届けること
→ 端的に、物流(構内物流、構外物流の両方を含む)
・ 在庫することで、短いリードタイムに対応すること
上記のような、モノの変化を中心にした見方となります。
そして、この加工とは、人と設備の共同作業によって構成されます。
自動機でも、人が設定及びメンテナンスを行わなければ正常には動きません。
最近流行りの対話型AI(Chat GPT)でも、人の関与の仕方で結果が変わります。
まあ、この場合は情報収集の範囲や制約条件を受け側の人が設定・更新をするという形になるのかもしれませんが、これもまた電子機器のプログラムという道具(設備)と使う側である人の共同作業で適切な成果物が造り込まれる(情報加工される)と考えれば同じようなものでしょう。
3、仕事とは?
それでは、そもそも仕事とは何でしょうか。
前述した通り、全ての経営体は収益(利益)が無ければ存続できません。
こう考えると、仕事とは収益を上げるための価値を造り込む活動全般と位置付けることができると考えます。
但し、これまでお話した通り単体や部分で価値の造り込みが完了する仕事はあり得ません。
最終的に、お客様の手に自社が提供するサービスが届いて、その良さを実感してもらい、お客様から評価してもらい、そしてリピートしてもらうという連鎖があってこそのことですから、区切りはあっても終わりがないのが本来の仕事でしょう。
また、組織を構成している以上、その価値を造り込む工程を分担して行っていることになります。
これをもう少し分かり易く表現すると、それぞれの仕事(作業)の分担ということになるでしょうか。
そうなると、お客様に渡るまでにいくつもの役割分担の工程を経て価値が造り込まれているということになります。
4、価値連鎖というバトンタッチリレーとそれを支える基準の整理
価値連鎖という基準から考えると、自分が担う役割の後ろ、後工程の全てがある意味価値のバトンを渡していくお客様という感じになるはずです。
その先に自社のサービスを消費する存在としてのお客様がいて、消費という体験(経験)を評価として自社にフィードバックをいただき、更なる連鎖を構築する訳です。
このように考えると、それぞれの役割分担という「区切り」の中、あるいはもっと大きな枠組みにおいても、仕事の質という基準が必要であることは論をまたないのではないでしょうか。
仕事の質という「整理:基準の更新」です。
この場合の「質の整理」とは、大きく分けてふたつあります。
ひとつ目の基準
・ その仕事が完了した時点ではどのような姿であるべきか
→ 製造業における品質基準
ふたつ目の基準
・ その仕事を正しく完了させるために守るべき基準
→ 人が携わる作業であれば「作業条件:手順や注意点等」
設備等に関しては「加工条件:設備に与える基準」及び「保全条件」
* 当然、設備に対する「加工条件」や 「保全条件」等についても、人が何らかの形で必ず関与しますから、「作業条件」への反映が必要不可欠となります。
上記の条件を「整理」する中では、現状での困りごと(トラブル等)が良いヒントを与えてくれるでしょう。
例えば、下記のような事象はどこにでもあることですが、これら全ては「作業条件」の中のどこの手順に抜け漏れが発生していたのかという振返りのポイントを教えてくれます。
・ 本来伝えるべきである情報を、正確かつタイムリーに伝えていなかったら、情報の質の悪さという不良です。
・ 作業の質が悪いために、品物の怪我や人の怪我を生じてしまう、これも作業の質という意味で不良です。
・ 後工程側も、不良がわかっていながら受取り、自分のところで手直しして、前工程
にフィードバックを行わなかったら、実はこれも発生源対策という意味では不良行為でしょう。常に100%自分が抑えられる訳ではありませんから。
実のところ、これら全ての質の造り込みの阻害要因は仕組みの悪さに起因ます。
本来当たり前に守るべき基準を軽く見て良いという誤った考え方を是とする仕組みです。
仕組みとはルールや基準、必ずこの手順を経てこの結果に繋げるという価値連鎖のことです。
しかし、組織化が進み役割分担が細分化される中で自らのあるべき姿、造り込むべき価値が曖昧になる中で、形骸化してしまうのです。
自然界では、人間のみがルールを破れる存在です。
他の生物がそれをやれば生き残っていけないという当たり前、それを人間は破りますし破れます。
故に、ある意味性悪論的な立ち位置も必要でしょう。
異常を発見したら、止まる・止める・前工程を呼ぶ・その場で対策する等、本来当たり前のことが当たり前になっていないという社内基準、このなるべきならば見たくない事実から直視して「整理」する必要があるのではないでしょうか。
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