2026/01/14
モノや情報の流れから見た改善の着眼点 「物流改善」 ⑩ 「お店(在庫置き場)」 ②
【目次】
1、「お店(在庫置き場)」の間口と奥行きの考え方
2、「お店(在庫置き場)」と在庫運用基準 「人に仕事がついていませんか?」
3、在庫と仕組みについて
【要点】
・ 製造業のおける在庫とは、工程が進むにつれて種類が増える
→ 工程の進み具合で仕掛品の種類は増える
・ 製造業におけるレイアウト改善の注意点は、加工ではなく流れである
・ 「お店」もまた、全体の流れを繋ぐための武器として機能させる必要がある
・ 仕事に「やり繰り」は「問題を隠しかねないという意味では」危険である
・ 仕事に人を付けること、それを仕組み化という
・ 在庫を減らしたいというニーズと、在庫が必要だというニーズは、常にせめぎ合うもの
・ 「在庫」という代用特性値を使いながら、改善するべきはベースとなる仕組みの方である
・ 仕組みとは、基準・標準化されたものであり、「目で見る管理」の下に置かれた存在である
1、「お店(在庫置き場)」の間口と奥行きの考え方
ピッキングの基本は「指示書」「運搬具」「お店(在庫置き場)」の3点セットにあります。
今回も「お店(在庫置き場)」の続きです。
「お店(在庫置き場)」の果たすべき機能は、必要なものを、必要なときに、必要なだけ予め揃えておくことで、欠品や空振りを防止するところにあります。
また、短リードタイムへの対応による競争力の確保や、市場の振れを生産現場に波及させないための防波堤として、品質や生産性の向上の武器にもなります。
製造業においては、同じ在庫でも工程のどのポイントで持つかによって工場設計が変わります。
多くの場合、製造現場の改善ではレイアウトを変更したがります。
しかし、多くの場合加工にのみ焦点が行ってしまい、流れというものが置き去りにされがちです。
ラインレイアウトであれば素材の供給と完成品の払い出し、そしてそれらを繋ぐための素材(前工程から見れば仕掛品)置き場と完成品(後工程から見れば仕掛品)置き場といった、「お店(在庫置き場)」は全体の流れから考える必要があります。
また、多くの場合は前工程から後工程に工程が進むと共に仕掛品の種類(間口)が増えることになります。
加工が進み、種類が増えていくイメージでしょうか。
これらも当たり前のことですが、結局のところこの「お店(在庫置き場)」の条件が前後工程の着工パターンに大きな影響を与えます。
どの程度の仕掛けタイミングで、どの程度のロットで仕掛けるかを含め、「お店(在庫置き場)」の間口(種類)と奥行き(量)の関係性が重要な要素となります。
良く動くA群は仕掛け頻度が多い分、必要数に比べて在庫は少なくなるでしょうし、動きの悪いC群は仕掛け回数を少なくするためには必要数に比べて在庫は少し多くなったりするでしょう。
これもまた、全体の流れを繋ぐための武器として活用する意思を込めて初めて機能するものだということです。
2、「お店(在庫置き場)」と在庫運用基準 「人に仕事がついていませんか?」
「問題を隠したいからそんなに沢山持ちたいのだよな。」
これは、私の師匠と呼べる方からいただいた言葉です。
その当時、私は食品の製造販売業の会社に勤めており、在庫管理が仕事のひとつでもありました。
当初は、「?」でしたが、よくよく考えてみると、「なるほど」と納得させられる言葉です。
無論、昨今の外部環境の激変により、「当時と比べてモノの手配の前提条件は大きく変わっていることは承知の上で」、という前振りはさせていただきます。
まずは、多くの会社では「やり繰り」が正しいものだという暗黙の基準があります。
在庫管理においても同様です。
というより、在庫管理等は一部の担当者の腕の見せ所になってはいないでしょうか。
これは、完全に「人に仕事が付いた」状態です。
1)どの様な基準で、どれだけの在庫を持つのか?(種類と量の基準)
2)それがどれだけ減ったから補充手配するのか?(補充タイミングと補充単位の基準)
→ 1)・2)の流れが基準であれば、所謂後補充的な対応となるでしょう。
3)営業の仕掛けや新規導入・取引先の取扱い終了等の情報について、どのような情報の流れが確保されているのか?(更新基準)
4)在庫管理と生産管理は連動しているか?(生産方式)
→ 受注生産? 見込み生産?
このような基準は、「5S:整理」されていますか?
その上で、運用されていますか?「5S:清潔」「5S:躾」
運用基準は共有されていますか?
「目で見える形」にされていますか?「5S:整頓」
「人に仕事を付けた」状態では、後々禍根を残します。
担当者の巧みな「やり繰り」で、結果として会社として取組むべき「問題を隠してしまう」のでは、本末転倒です。
仕組み化への取組みが必要ではないでしょうか。
故に、「5S」というものの見方・考え方を導入して、組織として考えざるを得ない仕組みの構築に取り掛かりませんか?
間違いなく、見える風景が変わります。
3、在庫と仕組みについて
「お店(在庫置き場)」の果たすべき機能は、必要なものを、必要なときに、必要なだけ予め揃えておくことで、欠品や空振りを防止するところにあります。
また、短リードタイムへの対応による競争力の確保や、市場の振れを生産現場に波及させないための防波堤として、品質や生産性の向上の武器にもなります。
しかし、この機能は見方を変えると「問題を隠したいからそんなに沢山持ちたいのだよな。」ということになりかねないという危険な側面を持ちます。
無論、昨今の外部環境の激変により、当時と比べてモノの手配の前提条件は大きく変わっていることは承知の上です。
その上で、在庫を持つことで問題を回避することが出来る、とうのが在庫を持つ意義でしょう。
では、どの程度持てば問題を回避できるのでしょうか。
正直なところ、これに解答することは不可能だと思います。
たまたま在庫があったから上手くいったことも有るでしょう。
同時に、陳腐化して損切する場合もあるでしょう。
では、利益への貢献という基準で比較検証しているでしょうか。
在庫を減らしたいというニーズと、在庫が必要だというニーズは、常にせめぎ合うものです。
しかし、実際にどれだけ必要かを厳密に検証している企業は少ないのではないでしょうか?
それを仕組み化している企業は更に少数派でしょう。
IT化、システム化したから解決する課題ではありません。
係数設定をするのは人、AIを使ったとしてもそのAIの学習?状況によって結果には差が生じるでしょう。
ましてや、中小企業ではこのようなシステムを入れる資金的な余裕も、運用するノウハウも不足しているでしょう。
ひとつ言えるのは、在庫とは「在庫単体」で減らす、増やすと考えるものではないということです。
例えば製造業、完全受注生産を行っている企業であれば、完成品在庫は少ないと思われます。
しかし、中間仕掛品や素材レベルででは如何でしょうか。
価格の上昇局面では?
価格の下降局面では?(こちらはしばらく期待できないかもしれませんが)
結局のところ、企業としての仕組み次第、営業の弱さ・製造の弱さ・購買の弱さなどの結果が「在庫」という名の何かに姿を変えているだけのことです。
故に、「在庫」という代用特性値を使いながら、改善するべきはベースとなる仕組みの方です。
仕組みとは、基準・標準化されたものであり、「目で見る管理」の下に置かれた存在です。
逆に言えば、見えるように出来ていないのであれば、まずか仮の基準作りから始める必要があるという訳です。
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