2026/04/06
「製造業における収益改善」⑬ 「改善」と「坊主丸儲け」
【目次】
1、改善と改革
2、結果と行動
3、改善とは
4、改善とは、本来「坊主丸儲け」的な取組み
【要点】
・ 改善とは、現状をより良い状態に改めること、あくまでも現状を基準としている
・ 改革とは非連続的なもの、新たな挑戦である
・ さて、この改善と改革、分けて考える必要はあるのだろうか?
・ 創業時の形がどのようなものであろうとも(スタートアップやベンチャー含む)経営の安定化、仕組み化の必要性からは逃れられない
・ 外部環境が変化している以上、これまでと同じ行動をしていてはこれまで以下の結果しか出せない
・ 既存のビジネスでもやるべきことをきちんとやれば十分な収益事業に変えることができる
・ 改善により新たなチャレンジの原資である人の余裕工数を確保すること、その上で新たなチャレンジを固定費が増えない状態で取り組める環境を生み出すこと、これが改善の力と言える
1、改善と改革
改善と革新は別物であるというお話をよく聞きます。
改善とは、現状をより良い状態に改めることであり、あくまでも現状を基準としているのに対して、改革とは非連続的なもの、新たな挑戦である、この違いは大きいということでしょうか。
投資余力が十分にあるか、資金を別途調達できる力がある企業は新たなる挑戦を続ければ良いでしょう。
スタートアップと呼ばれる企業等がこれに当たるでしょう。
先進的な技術やアイデアをもとに、ゼロから新たな市場やビジネスモデルを創出するとなると、正しく改革(あるいは革命?)と言えます。
その分、ある種の才能等個人の能力に大きく左右されそうな気もしますが、取組む力があればチャレンジすべきなのでしょう。
しかし、現実問題としては足元をきちんと固めていかなければビジネスは続きませんし、勿論成長もしません。
この点からは、ベンチャーと呼ばれる企業もこちら側(地道な足元固めが必要な企業のひとつ)なのかもしれません。
ベンチャーとは大企業が進出していない領域(市場)に対して、既存のビジネスモデルをベースにして収益性を高め、規模拡大を目指すのですが、ハイリスク・ハイリターンを指向しながらも継続的な収益確保を追求する点では、やはり足元固めは重要でしょう。
まあ、ベンチャービジネスとは和製英語ですから、意外と曖昧な捉え方をされているようにも感じます。
それはさて置き、日本の企業の99%以上を占めるのは中小企業です。
無論、前述したスタートアップやベンチャーもこの範疇に入るものが多いでしょう。
その約7割が赤字と言われています。
コロナ禍をひとつの切掛けとして、デフレ基調からインフレ基調に大きく市場環境が変わる中で、投資余力がある中小企業は多くはないでしょう。
また、アイデアひとつで勝負するスタートアップやベンチャーの企業生存率は高いとは言えないでしょうから(ハイリスク・ハイリターンとはそういうことです)、まずは経営の安定化、仕組み化が必要不可欠な点は変わらないように思われます。
2、結果と行動
あらゆるものの価格が上昇基調にあります。
変動的な費用(原材料費等)も高騰しています。
固定的な費用(人件費・水光熱費・物流費等)も高騰しています。
これらのほとんどは、日本国内由来の原因ではありませんから、文字通りコントロール不能です。
これが、外部環境変化です。
しかし、市場環境が厳しい中でも新たな成長への挑戦は必要です。
これまでと同じことをしていれば、同じ結果かあるいはより低い結果しか得られないのは自明の理であるからです。
ここで、少し考えてみてください。
「結果とは何か?」
結果とは、ある原因や行為から生じた結末や状態を意味します。
「ある原因」を生み出したものは何でしょうか?
答えは、「行動」です。
「行為」とは、どのような意味でしょうか?
ある意思を持ってする行い、即ち「行動」です。
「ある意思を持って」ということは、考えて動くこととも捉えられるでしょう。
そして、改善とは考えて動く「行動」そのものです。
故に、まずは改善が必要なのです。
改善とは、現状をより良い状態に改めること、ビジネスにおいては赤字を黒字に変えること、黒字をより多い黒字に変えることです。
新たなチャレンジをすることで大幅に収益を上げることは不可能ではないでしょう。
但し、成功の確率、企業生存率は決して高くはありません。
だからこそ、ハイリスク・ハイリターンと言われる訳です。
要は、一発逆転ホームランを目指すようなものでしょう。
まあ、狙って常に打てるものであれば狙うべきでしょうが、そうは問屋が卸してくれません。
成功確率が高いのであれば、皆さん参入していますから。
結果、一発逆転を狙った有望市場の多くはレッドオーシャンと言われる市場に早変わりするのです。
流行り廃りの怖さです。
無論、先行者利益というものもあるでしょう。
但し、それには大きな投資と賭け要素を覚悟する必要があるでしょう。
だからこそ、二匹目のドジョウを狙う後発者利益というものが存在するのでしょう。
先行逃げ切りか、後発追い込みか、これには恐らく正解はありません。
但し、何れにしても投資は必要である点は変わりません。
これから創業される方(企業内・企業外含む)の場合はゼロからのスタートですから、勿論初期投資は必要です。
ビジネスとは、先にお金が出て行って、後から収益という形でお金が戻ってくる取組みですから、当然です。
しかし、既にビジネスを始めている方、企業体としての構えを持っている方については、話が別でしょう。
まずは足元固め、現状のビジネスモデルの振返りが不可欠です。
そこを放置して新しいことに挑戦するということは、出血しながら戦うことに他なりませんから。
出血しながら戦うことは正直疲れます。
しかし、多くの企業は既に事業基盤が存在し(盤石とはいえない場合が圧倒的に多いですが)、改善の糊代(余地)が存外大きなものであることに気づいていないことこそ問題なのではないでしょうか。
既存のビジネスでも、やるべきことをきちんとやることで、十分な利益が確保可能に生まれ変わらせることが不可能ではないということです。
但し、それには正しい行動が必要不可欠です。
しかし、それで先立つもの(原資)が確保できる可能性があれば、やって見て損はないと思いますが、如何でしょうか?
3、改善とは
改善とは、現状をより良い状態に改めることを意味します。
但し、ビジネスにおける環境は時々刻々と変化します。
デフレ基調からインフレ基調に大きく市場環境が変化した以上、更なる激震も予想されるでしょう。
生き残るためには、一時的な改善では足りません。
継続的に、現状をより良い状態に改め続けることが求められるのです。
では、現状とはどのように捉えればよいでしょうか?
それは、自社がこれまで従ってきた価値基準であり、行動基準と言えるでしょう。
良くも悪くも、企業(法人)とはそれぞれ違った性格を持ち、そこから来る行動パターンというものがあります。
だからこそ容易には変えられないものですが、生き残るためには変える努力(きちんと考えた上での行動)が必要不可欠です。
故に、まずは自社の現状を明らかにする必要があります。
現状とは、自社の価値観を含めた行動を制御している基準の把握です。
これが改善活動の一丁目一番地となります。
自らの姿をまずは鏡に映してみて、直視する行動です。
4、改善とは、本来「坊主丸儲け」的な取組み
改善には、「5S」の視点による基準更新が欠かせません。
「ムダを取り-余裕を顕在化させる-新しい価値ある仕事を取り込む」
・ 現状把握(全体の情報とモノの流れ、組織間の関係性等)=「整理・整頓」
・ 現状に対して「当面の目指すべき姿」を明らかにする=「整理・整頓」
・ 変化点を発生させるための仕組みの更新を行う=「清掃」「清潔・躾」
・ 「P-D-C-A」サイクルを回していく=「清潔・躾」
* なお、「5S」については「経営改善のための5S」を参照願います。
「5S」というモノサシを軸に「行動」を変えていくことで「結果」も変わります。
この「結果」というのが、収益性に現れます。
利益の増加です。
赤字から黒字へ、黒字から更なる積上げへといった風に、順々に良化していきます。
基本的には変えるのは「基準と行動」だけですので、固定費は変わりませんが結果は変わります。
所謂「坊主丸儲け」の状態です。
「坊主丸儲け」とは、
・ 僧侶は元手が要らないので、収入の全てが儲けになる。
といった意味だそうですが、固定費が増えない状況で生産性が上がれば、それは利益となります。
例) 無理な残業の抑制 等
当然のことながら、余裕工数が顕在化しますから、そこに新しい価値ある仕事を取り込めれば、少なくとも限界利益は全て儲けとなります。
・ 売上高-変動費(原材料費的な意味)=限界利益
・ 限界利益-固定費=営業利益
そして、新しいことに取組むには、人・もの・設備・情報(アイデア)などが必要です。
その為にもまず人の時間が空かなければ始まりません。
それを、現有戦力の中から捻出するためのアプローチとして、「5S」というモノサシを活用する訳です。
使いこなすまでには実践での訓練が必要であり、そのためには伴走者が必要なのは事実ですが、そこが当社の強みです。
気付かれた方がいるかも知れませんが、この段階で新しいことへのチャレンジが可能となります。
それも、固定費の中から工数という原資を捻出、そこから新たな利益を積み上げて次の原資にするというビジネスサイクルです。
これは、前述の「革新」に当たります。
社内ベンチャー等も本来はこのように立ち上げるべきでしょう。
結局のところ、ビジネスを継続する意思を込めて仕組み化するためには、どこまで行っても人こそが源泉となるのです。
そして、その人を活かすためには一見迂遠なように見える改善が必要不可欠なのです。
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