2026/06/16
「5S」を仕組む意味 「5S」とは? ⑦ 収益改善に向けた具体的取組み例 ②
【目次】
1、当たり前のレベルを上げること
2、「整頓」の進め方
3、【管理】という機能が正常に働く重要ポイント【目で見る管理】
4、人に付いた基準(仕事)は悪さもする
5、道具は道具、手段は手段、目的をお忘れなく!
6、基準が見える事の重要性(「整頓」は重要です!)
【要点】
・ 「5S」の基本は「当たり前のレベルを少しずつ上げていくこと」
・ 「整頓」とは、自分以外の誰にでも判る状況を作ること
・ 【管理】機能が正常に働く大前提は【見えていること】
・ 人に付いた基準(仕事)は悪さもする
・ 目的から始めることが大切
「5S」の目的
① 【売上を増やして、コストを下げること=収益改善】
② 【組織文化の変革(良い組織文化の醸成)】
1、当たり前のレベルを上げること
「5S」の具体的な進め方についての続きです。
基本的な考え方は、【当たり前のレベルを少しずつ上げていくこと】に尽きます。
① 基準を変える(仮決めするor更新する)=「整理」「整頓」「清掃」「清潔」
② 基準を変えた結果、行動が変わる=「清潔」
③ 行動が変わった結果、成果が変わる=「躾」
④ 成果が変わった結果、「これで良かったのだ」との納得が生まれる=「躾」
⑤ 納得(腹落ち)するからこそ、最終的に意識が変わる「躾」
2、「整頓」の進め方
今回は、「5S」の中のふたつめの「S」である「整頓」の進め方です。
「整頓」を進める上で大切なことは、「整理」という基準によって必要と判別できたものに関しては、まずはモノの置き場を決めて分かるようにすること、そして取りやすく・片づけやすくすることです。
前述した、三定がこれに当たります。
「定位:決められた位置(場所)」
「定品:決められた品物(置くもの)」
「定量:決められた量、故に決められた荷姿(量と置き方)」
ここでのポイントは、「置くための基準」を定めることです。
そして、もうひとつのポイントとしては、置き場という基準を決めたら、それが「誰にでもわかるように明示=表示すること」です。
これにより、正常・異常がはじめて誰の目にも明らかになります。
いわゆる、「目で見る管理」のスタートです。
自分以外の誰にでも分かり易い条件を整備することが重要なのです。
3、【管理】という機能が正常に働く重要ポイント【目で見る管理】
仕事の中で、自分以外の誰かが品質や進捗を把握できるように仕組めているかどうか、基本的にこれが無ければ【管理】は機能しません。
本来、【管理】とは「正常な範囲」があるからこそ、その範囲を上限乃至下限を超えてしまってこそ初めて起動する機能です。
極論すれば、正常な状態の間はやることがありません。
管理職が機能しないとのお話はよく聞きますが、ある意味当然のことなのです。
機能が働き始める起動ポイントが不明確なまま個々の管理職の判断に委ねた上に、基準更新という一番大切な訓練を行っていないのですから。
結構な無茶ぶりと言えます。
「個々の管理職の判断に委ねる」とは便利な表現ですが、委ねた側・委ねられた側双方が管理機能の発動ポイントを把握していない状態では、目隠しで伝言ゲームをやるようやものです。
伝えるべき「伝言」が決められていない状態(基準不在)で、取り敢えずバトン(「伝言」)だけ渡す、渡すべき相手にきちんと伝わったかどうかの確認もできないような状況です。
また、渡した相手に対するフォローも基準不在ではやりようもなく結局丸投げ、委ねられた方は暗中模索、良し悪しの仮設定から始めるのだけれども日々のルーティンに流され(正確には逃げ込んでしまう)という悪循環にはまります。
本来「学ぶ」とは「真似る」ことから始めるべきなのに、お手本となるべき基本の型すらないのでは訓練のやりようもありません。
仕事の「品質基準」、「時間軸と手順」、最低この辺りが【見えて】いないと【管理】は機能しないのです。
4、人に付いた基準(仕事)は悪さもする
過剰や死蔵の在庫に悩まれている企業様は多いと思いますが、それを減らすために在庫管理システムというITを導入したが、なかなか成果に結びつかないとのお話もよくお聞きますが、その最大の理由も【基準が見えていない】ことが主な原因となります。
担当者以外には判断できない基準、要は「人に仕事を付けて」しまい、フォローもリカバリーも困難な状況を会社自らが「仕組んでしまっている」ことに気が付いていないのです。
その上で、人間は、目で現物を見ない場合は感性があきらかに低下するという特性を持っています。
実物(リアル)ではなく、数字(バーチャル)として認識してしまうと、本当に現実感が希薄になるのです。
電子的なシステムの落とし穴のひとつ、数値としては表示されているがアクションが遅れるという不思議、後から振返れば「何故?」という事態、結局は仕事の主体は「人」であり、
第三者チェックの形骸化(そもそも仕組まれていなかったことの方が多いかも?)がもたらす弊害のひとつと言えます。
電子的なシステムも、現場の実際のオペレーションとリンクして初めて機能するという原理原則を忘れてはなりません。
その上で、管理者が【見て・フォローが出来る】ように「仕組む」ことが必要不可欠です。
5、道具は道具、手段は手段、目的をお忘れなく!
最近流行りのDX(デジタル・トランスフォーメーション)等にも同じような事象は当て嵌るかもしれません。
道具立ては揃えても、使う側がついてこられないため期待した効果が得られない訳です。
道具とは、仕事の目的から必要な条件「整理」ができた上で、「目で見る管理」即ち「整頓」ができて初めて業務の効率化に向けて機能するのです。
全員がある一定レベル使いこなせて初めてデジタル化の効力が発揮されます。
特に、これらを苦手とされる50代以降の皆様、若手からのフォローも得られるように仕組んでおかなければ逆に管理側が足を引っ張ることにもなりかねません。
上意下達、支配型マネジメントも良いですが、
「老いては子に従え」
的な余裕率を仕組む事も必要です。
デジタルを使いこなすという意味では、到底勝ち目はありませんから。
そこは支援型マネジメントの振りをしながら、逆に支援を貰いやすいように仕組む事も有りでしょう。
若手が気遣いなくフォローして良いと思える環境を整備するということは、そのまま経験を積ませて成長させる仕組みとしても機能します。
年長者はそれまでの経験を、若手は新たな道具立ての活用とその感性を仕事に活かすチャンスを、「5S」というものの見方・考え方を経営に活用することは意外にお得ですよ。
6、基準が見える事の重要性(「整頓」は重要です!)
必要な基準や目標等、「当面の目指す姿」を「整理」すること、可能な限り定量的に絞り込みを掛けることは必要不可欠な取組みです。
しかし、伝わらなければ意味がありません。
伝えるためにやるべき事が、基準や目標等を数値で表したり図示したりすることになります。
「経営戦略」や「経営計画」と呼ばれるものです。
企業には「存在目的」があり、その目的に向かうために「目標」が設定されます。
「目的」は「あるべき姿」であり、定性的に表現されるものです。
「目標」は「当面のあるべき姿」であり、定量的に表現されたものと言えます。
そう、果て無き「目的」に達するための道しるべ、それが「目標」であり、「目的」と「目標」を繋ぐための結節点が「経営戦略」でしょう。
そして「経営戦略」とは、
「企業体がその経営目的を達成するための施策・方策全般」
を意味します。
それを1~3年程度の期間に区切ってより具体的にしたものが「経営計画(中期)」でしょうか。
無論、数値目標と行動目標の合わせ技です。
しかし、冷静に考えてみてください。
これらを作成する目的は、共有することにあります。
社員に、或いは銀行をはじめとした協力者等にも。
「見えないものは測れない(進捗上の良し悪しすら分からない)」
故にこそ、【見えるように】するのです。
見えないと、そもそも戦えないのです。
激しい外部環境の変化の中で企業が生き残るのに必要なのは、
【外部環境に適応すること】
のではなく、
【外部環境に適応し続けること】
なんですから。
故に、組織戦が必要不可欠なのです。
組織戦の大前提は、基本的に目指す方向が同じであること、その為の【目で見る管理】なのです。
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